2017年7月10日月曜日

第182回 「漫画の描ける医者」

私は、幼いころ漫画家を志望していました。

記憶に残っているのは、月刊誌「少年」に掲載されていた、手塚治虫神様の「鉄腕アトム」、横山光輝先生の「鉄人28号」です。その後、白土三平先生の「サスケ」、藤子不二雄先生の「忍者ハットリくん」に続きます。

中学生・高校生時代には52頁のストーリー漫画を投稿したこともあります。

母親に見つかって叱られたこともあります。それでも、漫画家になりたかったことを思い出します。ストーリー漫画を描くには、ストーリーが読者に伝わることが大前提です。そのためには、その内容をしっかり勉強をすることが大切です。

例えば、時代劇ものを描くには、その当時の歴史、着物、大道具、小道具などを調べなくてはなりません。現代の漫画では、時代錯誤しているものもありますが・・・。そして何より、主人公の顔や姿が52頁の最初から最後まで一貫しなくてはなりません。

投稿は5回ほどしました。いつも一次審査は合格するのですが、二次審査には合格しませんでした。

その投稿した一つに医療関係のものがありました。漫画を描くために、勉強すると次第に医学に興味がわきました。母の兄が医師になったのですが、卒業してすぐにカリエス※で他界したこともあって、医学に進むことにしました。
漫画を描いていたおかげで、解剖学の図の描出はお手の物でした。それで整形外科に入局しました。

今は漫画のストーリーなどを考える余裕はありませんが、外来に来た子供たちに「ドラえもん」「アンパンマン」などを描いてみせると、表情が和らぎ喜んでくれます。

※カリエスとは、脊椎を含む骨組織が結核菌による侵食される状態

副院長 小坂 義樹(整形外科)