2017年12月10日日曜日

第196回 赤い帽子を応援する

井戸端2回目の城戸です。今回はお気に入りの雑誌をご紹介します。

この数年、出張などで都会に行った時に毎回探し回る雑誌があります。
表紙はこんな感じです。
(ガラケーでの撮影なので写りがいまいちでスミマセン。以下同様)

 

ビッグイシュー日本版(THE BIGISSUE JAPAN)と書いてあります。

大きいissue(=刊行物)とは決して言えない、30ページ程の薄い雑誌で、
毎月1日と15日の二回発売されています。
お値段は350円とかなり割高に思えるかもしれませんが、理由は後ほど。


この雑誌の特徴は書店やコンビニで手に入らないことです。
通販やアマゾンでも扱っていません(関連の書籍はありますが)。
特定の「販売員」から直接購入するしかない仕組みになっています。

なぜかというと、この雑誌はホームレスの人々に収入を得る機会を提供する
ための事業として作られているからです。手元の資料によりますと、

・1991年にロンドンで始まり2003年9月に日本版が創刊(今年14周年)。
・身分証明書を身につけた販売員が、決められた行動規範を守って販売する。
・販売員は一冊170円で仕入れ(最初の10冊は無料提供)、350円で販売することで180円の収入を得ることができる。

となっています。
公開されている行動規範にはプロの販売員としての心得がきっちり書かれていて、違反者を見た場合には事業者に連絡できるようにもなっています。
ビッグイシューという大きな名前を背負って販売されている、という事のようです。


でもまだ近寄りがたい感じはありますよね。
それでは販売している様子を見てみましょう。
(2017年9月15日号の記事から抜粋)
 

基本的に路上が売り場です。

指定されている場所は駅前や大型店の近くなど、
人通りがとても多い場所です。
暗かったり、狭かったりする場所は当然ありません。

制服というほどの厳格なものは無さそうですが、
基本的なスタイルはこんな感じです。
 

呼び込みなどはなく雑誌を掲げてただ立っている、あるいはそれもなく
行き交う人混みのなかで佇(たたず)んでいるだけなので、
(通行の妨げになることはありませんが)
知らない人にとっては、何をしているのかよくわからないと思います。
あるいは見かけたとしてみ、気にも止まらないかも知れません。


中身の記事は国内、国外を問わず幅広い分野のBIGなISSUE
(issue=論点、争点、問題)を扱った内容になっています。
通常の商業雑誌では扱わ(え)ないような、
どちらかと言うと歯ごたえのあるテーマが多かもしれません。
一方で、よくある映画や書籍の紹介、人物へのインタビューの他、
販売員さん(ホームレスの方)への人生相談という人気コーナーもあります。

あらかじめ欲しい記事がわかっている場合はこんな感じで
ストックからバックナンバーを出してくれます。
 


実際のエピソードを披露しますと、

●東京【JR山手線沿線】[目白駅]駅前
夏のアスファルトの上、日陰もない駅前の広場。
こちらの心配をよそに販売員さんから「暑いので気をつけてね」
の言葉とともに熱中症対策だよ、と塩飴をいただいた事がありました。

●大阪【豊中】千里中央駅 北急&モノレール連絡口
大阪市内の学会会場から足を伸ばして太陽の塔を見に行った帰り、
モノレールから地下鉄へ乗り換えるところでお会いした後、
次の改札口がよくわからなくて困っていたら、行き方を教えてくれました。

いつもこの様にうまく買えることばかりではありません。
愛知【名古屋駅周辺】【栄周辺】や
熊本【熊本市】びぷれす熊日会館前 の時などは、
周囲を探しているうちに時間切れになり、
見つけることができなかったこともありました。

また、広島 八丁堀交差点 福屋まえでは、
4.5年前に一度買ったことのある販売員さんがその後お休みされ、
現在も休止中ということもあります。

こんな所でお分かりいただけたでしょうか。

毎年この時期(12月の前半)には出身医局の同門会というのがあって
岡山市に招集がかかる日があります。
この機会を利用して岡山の販売員さんを訪ねるのを楽しみにしています。
よく近所の方と談笑されておられるいい雰囲気の方で、
商品を一冊ずつ保護フィルムに包む心遣いもされています。
岡山駅からやや遠いのがネックですが、
中四国地方の売り場はココだけのようです。
お出かけの際はぜひ探してみて下さい。
→ 岡山【岡山市】表町商店街アリスの広場周辺

最新号から買うのもよし、表紙の写真で選ぶもよし。
なんてったって、赤い帽子をかぶって頑張っている人たちがいるとなれば
応援したくなりますよ、ね?

ではまた。
内科 城戸